2010年12月4日土曜日

英文法をやり直す(第一~二回)

日々、英語を教えていて思うのは、中学校で習う文法をしっかりと理解できていない人が意外なほどに多いということです。何事も最初が肝心です。土台がしっかりしていないと、その後いろいろ詰め込んでも、うまくいきません。英語の成績が上がらないのを理由に「自分には才能がないのかも」という不安を抱えてしまう人がいますが、むしろ、基礎が固まっていないことのほうに原因があると思います(私も中学校1,2年生の時は基礎をまじめにやっていなかったので成績が学年で最下位近くだったこともあります!)。

もちろん、中学文法が十分に理解できていないということは、ディスアドバンテージに違いありません。だからと言って、「そんな基礎的なことも理解できていないなんて」と嘆いたり、あるいはその現実から目を背けたりしても始まりません。事態の改善は、現状分析による問題発見とその漸進的な解決によってしかなし得ないわけですから。そこで、これから少しずつ、基本文法のおさらいをアップしていこうと考えました。英語にはNo man is so old but he may learn. という言い回しがあります。「何事を学ぶにも、遅すぎるということはない」のです。

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[英文法をやり直す(第一回)]

第一回は疑問文の作り方を扱います。英語の平叙文は、be動詞が用いられている文、一般動詞(be動詞以外)が用いられている文、助動詞(will,can等)+be動詞/一般動詞が用いられている文、の3種類に分類できます(いきなり文法用語が多くて戸惑ってしまうという人は先に下の具体例の部分に進んで下さい)。どのタイプの文であるかによって、疑問文の作り方が違ってくるので、個別に見て行きましょう。

(1) be動詞が用いられている文

He is kind. (彼は親切です)

このタイプの文は主語とbe動詞の位置をひっくり返すことによって、疑問文にすることができます。

Is he kind? (彼は親切ですか)

これは過去形の文の場合も同じです。

He was kind. (彼は親切でした)
Was he kind? (彼は親切でしたか)

簡単ですね。でも、侮らないで下さい。一つのルールとして見れば極めて単純ですが、他のものと混同しないことが大切です。

(2) 一般動詞が用いられている文

She plays soccer. (彼女はサッカーをします)

このタイプは主語の前にdoを置くことで、疑問文にすることができます。但し、その際、もとの文で動詞が受けていた変化(例えば上の文のplaysのs)は全て、doが引き受けます。そのため、

(×) Do she plays soccer?
(○) Does she play soccer?

となります。もちろん、もともと動詞が何の変化も受けていない場合は、単純に主語の前にdoを置くだけで大丈夫です。

I need an automatic pencil. (シャーペンが必要です)
Do I need an automatic pencil? (シャーペンがいりますか)

では、過去のことに関する疑問文はどうなるでしょうか。過去の文は動詞が過去形になっています。この変化をdoが引き受けることになるので、

She played soccer. (彼女はサッカーをしていました)
Did she play soccer? (彼女はサッカーをしていましたか)

というように主語の前にdidを置き、もとの動詞を原形に直せばよいということになりますね。


(3) 助動詞+be動詞/一般動詞が用いられている文
まずは助動詞というものについて一言。英文法嫌いの人は、この「助動詞」のような難解な文法用語に戸惑うと言います。しかし、きちんと理解しようとすれば少しも難しくありません。助動詞とは読んで字のごとく、動詞の意味を補助するもので、be動詞や一般動詞の前について様々な意味を付け加える働きをします。例文で確認してみましょう。

He can play the guitar. (彼はギターが弾けます)
You will be there. (あなたはそこにいくでしょう)

この2つの文でそれぞれ、canは「~できる」という意味を、willは「~するだろう」という意味をもともとの動詞に付け加えています。それだけです。簡単でしょう?なお、このように助動詞が使われた文では、主語に関係なく動詞は原形となるのが決まりです。

(×) He can plays the guitar.
(×) You will are there.

このタイプの文は、be動詞が用いられているか一般動詞が用いられているかにかかわらず、助動詞と主語の位置を入れ替えることで疑問文にすることができます。

Can he play the guitar? (彼はギターを弾けますか)
Will you be there? (あなたはそこにいきますか)

be動詞、一般動詞の区別をしなくていい分、楽ですね! ここまでの内容をまずはしっかり飲み込んでください。そうすると次が楽です。



[英文法をやり直す(第二回)]

前回、3つのタイプの文と、それぞれの疑問文の作り方をおさらいしました。けれども、前回扱ったのは、いわゆるYes-No question(「はい」「いいえ」で答えることが可能な疑問文)だけでした。

Do you play soccer? – Yes.(サッカーをしますか。-はい。)
Can you play the guitar? – No. (ギターが弾けますか。-いいえ。)

疑問文にはこの他にも疑問詞(what, who等)を用いたものがあります。この種の疑問文は「はい」や「いいえ」で答えることはできず、尋ねられている情報を相手に教えてあげることで始めて会話が成立します。

What’s your name?

‐(×)Yes.
‐(○)Taro. /I’m Taro.

疑問詞疑問文もYes-No 疑問文と作り方の基本ルールは一緒です。但し、文の中の尋ねたい要素を疑問詞に変えるという点が付け加わります。例えば

This is a pen. (これはペンです)

というbe動詞の文で、a penの部分を尋ねるような疑問文(つまり「これは何ですか」と尋ねる疑問文)を作りたいとします。この場合、a penの箇所に「何?」を意味するwhatを置き、Yes-No 疑問文と同じく主語とbe動詞の位置を入れ換えます。

Is this what?

但し、これではまだ完全ではありません。疑問詞は厄介なことにもともとの位置がどこであれ、必ず文頭に出さねばならないというルールがあります。この決まりに従うと、whatはIsの前に出ることになりますね。

What is this? (これは何ですか)

はい、これで出来上がりです。一般動詞の文、助動詞の文も同じように、前回の内容を応用できます。

He knows that. (彼はそのことを知っています)

という一般動詞の文で、thatを尋ねる疑問文(つまり「彼が何を知っているのか」を尋ねる疑問文)を作りたければ、thatをwhatに換え、heの前にdoを置きます。但し、この文では主語がheであることによって、knowがknowsになっていますから、このsをdoが引き受けて、doesとなります。

Does he know what?

後は、最後の仕上げとして、whatをDoesの前に持ってくれば

What does he know? (彼は何を知っているのですか)

となり、出来上がりです。

助動詞の文も同じです。

She can do that. (彼女はそれをすることができます)

のthatを尋ねる疑問文を作りたいとします。もう分かりますね。thatの位置にwhatを置いて、sheとcanの位置を入れ換えます。そして、whatを一番前に持ってくれば出来上がり。

→Can she do what
→What can she do? (彼女に何ができるのですか)

さて、これで終わり!と行きたいところですが、実はそういかないのが疑問詞疑問文の面倒な部分です。これまで、疑問詞疑問文では、疑問詞になっている部分を文頭に出すという説明をしてきました。

Is this what
→What is this?

Can she do what
→What can she do?

しかし、最初から疑問詞の部分が文頭にある場合はどうなるのだろう、と考えた人もいるかもしれません。例えば

This fact is important. (この事実は重要です)

のThis factの部分を尋ねる疑問文(つまり「何が重要なのですか」と尋ねる疑問文)の場合、どうなるのか、ということです。このタイプの文では、尋ねたい部分を疑問詞に変えた段階で、疑問詞が文頭にあるので、それ以上移動させる必要はありません。また、動詞、助動詞についても全く操作が不要です。つまり、主語の部分を疑問詞に変えるだけで即、疑問文の出来上がりです。

What is important? (何が重要ですか)

結局、一番簡単に作れる疑問詞疑問文ということになりますが、主語以外の部分を尋ねるパターンと作り方が異なるという点では注意が必要です。ではここまで(第一~二回)の内容をまとめましょう。


[Yes-No 疑問文]

(1) 動詞がbe動詞の場合:
be動詞と主語の位置を入れ換える
He is shy. → Is he shy?

(2) 動詞が一般動詞の場合:
文頭にdoを付け加える。但し、もともとの動詞が受けていた変化(三単現のs/過去形など)は全てdoが引き受ける。
He plays the guitar. →Does he play the guitar?
She smoked at that time. →Did she smoke at that time?

(3) 助動詞が用いられている場合:
助動詞に続くのがbe動詞であるか一般動詞であるかにかかわらず、助動詞と主語の位置を入れ換える。
You will be there. →Will you be there?
They can smoke here. →Can they smoke here?


[疑問詞疑問文]

(1) 主語以外の要素を尋ねる(主語以外の部分が疑問詞となる)場合:
尋ねる部分を疑問詞に変える。Yes-No 疑問文と同じ操作を動詞部分に行った上で、疑問詞を文頭に移動する。
This is a novel. →This is what. →Is this what. →What is this?
He said that. →He said what. →Did he say what. →What did he say?

(2) 主語を尋ねる(主語部分が疑問詞となる)場合:
主語を適切な疑問詞に変える。
He is a policeman. →Who is a policeman?
This made her angry. →What made her angry?


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以上、さも簡単なことのようにこの種のルールを話してきましたが、英文法をあまり理解していない状態から、ここまでのことをしっかりマスターするにはそれなりの負荷がかかることは否定しません。とはいえ、それはほんの数時間~数日間、集中して勉強すれば簡単に乗り越えられる負荷です。その少しの労力をケチったがゆえに、それ以降の英文法の授業が理解できなくなり、英語が不得意になったり嫌いになったりする。それはもったいないことだと思います。

(無断転載厳禁。但し、個人的に印刷するのは可)

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