2010年12月4日土曜日

英文法をやり直す(第四回)

[英文法をやり直す(第四回)]

さて、今回は残っている疑問詞についておさらいしましょう。とはいえ、ここまでの内容を踏まえてもらえれば、そんなに難しくはありません。

(3) why

言わずと知れた、「理由」を問うための疑問詞ですが、この疑問詞は「副詞的」です。つまり、普通の平叙文における副詞的な部分、なおかつ理由に関係する内容を表現している部分を問う場合に使用されます。具体的に考えてみましょう。

He stayed away from school for his illness. (彼は病気のために学校を休みました)

という文では、for his illnessの部分が理由を表す表現であり、なおかつ[前置詞+名詞]の形ですから副詞的です。ということは、これを尋ねたい、つまり「なぜ、彼が休んだか」を尋ねたい場合には、これまでの疑問文と同じで、この部分にwhyを置いてやればいいことになりますね。

He stayed away from school why?

後は、手順通りです。疑問文ですから、He stayed…のままというわけにはいきません。一般動詞の文ですので、doを前に置き、さらにstayedが持っている過去形をdoに預けて、didにします。

Did he stay away from school why?

最後は、疑問詞を文頭に出して、

Why did he stay away from school? (なぜ彼は学校を休んだのですか)

となります。では次の文はどうなるでしょうか。

He stayed away from school because he was ill. (彼は病気なので学校を休みました)

常識的に考えるとこの文のbecause he was illと先ほどのfor his illnessはほとんど同じことを表しています。ですから、当然この文のbecause he was illの部分もwhyに置き換えて疑問文を作ることができると考えてよいはずです。

He stayed away from school because he was ill.
→He stayed away from school why?
→Did he stay away from school why?
→Why did he stay away from school?

また、この疑問文に対して、どちらの表現でも答えることが可能です。

Why did he stay away from school? – For his illness.
Why did he stay away from school? – Because he was ill.

ここからどういうことが言えるでしょうか。この事実が示していることは、because…をwhyという副詞的な疑問詞によって問えるということです。ということは、because he was illというのは[前置詞+名詞]であるfor his illnessと同様に副詞的なものだと判断することができます。ただ、違いも確認しておかなければなりません。というのも、because he was illという4語の塊の中には、

He was ill. (彼は病気でした)

というそれ自体、単体で用いることのできる完成された文が含まれているからです。一方、for his illnessからforを取り除いたら、his illnessという名詞が残るだけで、これだけでは全く完成された文とは言えません。ここまでの副詞に関する説明で、私たちは既に三種類の副詞的なものに出会ったことになります。

一語の副詞=there, here, home, simplyなど
前置詞+名詞=at the station, for his illnessなど
内部に完全な文を含むもの=because he was illなど

この分類のうち、[前置詞+名詞]のように二語以上がくっついて一つの副詞的な要素として働いているもので、なおかつその中に完成された文を持たないものを、[副詞句]と呼びます。一方、because…のように、やはりいくつかの語が集合して一つの副詞的な要素となっており、なおかつその中に完成された文を持っているものを[副詞節]と呼びます。よって、副詞的なものには、[副詞]、[副詞句]、[副詞節]という三種類がみとめられるということになりますね。(勘の鋭い人は、じゃあ[名詞句]、[名詞節]とか[形容詞句]、[形容詞節]とかもあるんだろうか、と思うかもしれません。もちろん、あります! それについてはいずれ機会を見て説明します。)

少し話がそれましたが、whyに戻りましょう。ここで、次のような問を立てる人がいたらどうでしょうか。

上の例文では、for his illnessを一塊として考え、理由を表す副詞だからということで、whyに置き換えたが、forとhis illnessを分けて考えるならば、his illnessは名詞である。ここだけを名詞的な疑問詞であるwhatに置き換えることはできないのか?

結論から言うと、これは可能です。つまり、for his illnessを一塊として考えて、それをwhyで尋ねることが出来るのと同様に、forとhis illnessを分けて、his illnessだけをwhatで尋ねることも可能だということです。具体的に見てみましょう。

He stayed away from school for his illness.

この例文のhis illnessの部分を尋ねるわけですから、そこにwhatを置いて疑問文を作るということになります。

He stayed away from school for what?
→Did he stay away from school for what?
→What did he stay away from school for? (何が理由で彼は学校を休んだのですか)

ちなみにbecauseのタイプの場合、このような疑問文を作ることはできません。

(×)He stayed away from school because what?
→(×) What did he stay away from school because?

理由は簡単で、he was illというのは文であって、名詞ではないからです。それを名詞的な疑問詞whatで置き換えることができないのは当然です。


(4) how

次に出てくる疑問詞はhowです。やはり、基本的な疑問文の作りは同じですが、また少し性質をことにします。これまで、what=名詞的、which=指示形容詞的/名詞的、what/where/why=副詞的という性質を見てきました。これに対し、howは①形容詞的性質/②(様態・方法・程度の)副詞的性質、を持っていると言えます。難しそうに聞こえるでしょうか。でも、安心して下さい。具体例で理解していくとそんなに厄介ではありません。

まずは、①の形容詞的性質を見てみましょう。これは、

You are fine/good.(あなたはよい状態です)

という文のfineやgoodの部分を尋ねる場合に使用することができます。これらの語は形容詞表現ですから、whatでは尋ねることができません。そこで、形容詞的な性質を持つhowの登場となるわけです。

You are how?
→Are you how?
→How are you? (気分(状態)はどうですか→挨拶)

howを用いるという点以外は、whatなど他の疑問詞の時と全く同じですね。勿論、be動詞の文だけではありません。例えば、

She looks young. (彼女は若く見える)
That sounds strange.(それは奇妙に聞こえる)

などの文で、youngやstrangeといった形容詞の部分を聞きたい場合も、howを使います。

She looks how?
→Does she look how?
→How does she look? (彼女はどんな見た目ですか)

That sounds how?
→Does that sound how
→How does that sound? (どう聞こえますか)

同じように、次のようなSVOCの文型の形容詞も尋ねることができます。

He found it difficult. (彼はそれを難しいと思いました)
(He(S)/found(V)/it(O)/difficult(C))

この文のdifficultは形容詞です。というわけで、これを聞く場合にもhowを使って、

He found it how?
→Did he find it how?
→How did he find it? (彼はそれをどう思いましたか)(但し、やや稀)

とすることもできます。ここまでの疑問詞疑問文の作り方を理解してきていれば、特に難しくないですね。

では、次に副詞的な用法に目を向けてみます。まずは、次の英文を確認してください。

She treated animals kindly. (彼女は動物を優しく扱いました)

この文における、kindlyはtreat「扱う」という動詞を修飾する語となっており副詞です。(一般に動詞を修飾する語は副詞的なもので、また、形の面で言うと形容詞+lyとなっているものは副詞とみなしてかまいません) また、扱った際の「扱い方」を説明しているので「様態の副詞」と見なすことができます。この「様態の副詞」はhowで聞くことができるものの一つです。

She treated animals how?
→Did she treat animals how?
→How did she treat animals? (彼女は動物をどのように扱いましたか)

では、「方法の副詞」についても見てみましょう。

He solved the problem by pure guesswork. (彼はその問題を全くのあてずっぽうで解きました)

この英文で、by pure guessworkというのは前置詞+名詞ですから、副詞的な要素[副詞句]です。また、ここで、by pure guesswork「全くのあてずっぽうで」というのは、彼がその問題を解いた「方法」を説明しています。よって、この部分は[方法の副詞]だと考えることができます。やはり、ここでもhowが活躍します。

He solved the problem how?
→Did he solve the problem how?
→How did he solve the problem? (彼はどうやってその問題を解いたのですか)

だんだん、howの使い方の全貌が見えてきたかと思います。最後に残っているのは程度の副詞ですが、これが少し厄介です。「様態の副詞」と「方法の副詞」は主に動詞を修飾しますが、「程度の副詞」は形容詞を修飾することが多いです。具体例で確認しましょう。

She is very happy. (彼女はとても幸せです)
He was deeply shocked. (彼は深くショックを受けました)

これらの文において、veryやdeeplyは後に続く形容詞の度合いを説明しています。例えば、very happyなら、veryはhappyの程度(つまり、「どのくらい幸せなのか」)を説明していることが分かります。疑問詞howはこの「程度」を尋ねる場合にも使うことができます。但し、この場合、疑問文を作る過程で注意が必要です。ここで、第三回のwhichの疑問文のことを少し思い出してみましょう。引用します:

===

Does he like which book?

ここから、whatの時と同じように、疑問詞を文頭に出すわけですが、今回の文ではthis bookという名詞句の一部であるthisをwhichに変化させているわけですから、そこからwhichだけを強引に引きはがして前に移動させることはできません。というわけで、which book全体を一塊の要素として文頭に移動させることになります。

(×)Which does he like book?
(○)Which book does he like? (彼はどの本が好きですか?)

===

疑問詞whichを用いた疑問文では、名詞句の一部(上の例ではthis bookのthis)をwhichに変えている場合、その名詞句全体(上の例で言うとwhich book)を文頭に移動させる必要がありました。実は、形容詞を修飾する「程度の副詞」の場合も、形容詞と半ば合体し、一つの大きな形容詞句を作っているとみなすことができます。その証拠に、

A very happy woman

などと言うこともできます。名詞を限定的に前から説明できるのは原則的には形容詞だけですので、very happyというのはここでは大きな形容詞的要素となっているということがわかります。とすると、whichの場合と同じように、ある要素の中の一部分だけを疑問詞に変えた場合、その要素全体を文頭に持ってくることが必要になるので、

She is how happy?
→Is she how happy?
→How happy is she? (彼女はどのくらい幸せですか)

He was how shocked?
→Was he how shocked?
→How shocked was he? (彼はどのくらいショックを受けたのですか)

というように、疑問文を作る必要があることがわかります。このタイプの文を作文する時に、よく、

(×)How is she happy?
(×)How was he shocked?

という文を書いてしまうケースがありますが、これは間違いです。

(無断転載禁止、但し個人的に印刷するのは可)

0 件のコメント: